ストキャスティクス
ストキャスティクスについて勉強しましょう。
ストキャスティクスとは現在の株価が、直近の価格帯で、どの程度の位置にいるかを示すオシレーターです。
例えば、直近9日間(本日も含む)の価格レンジが10,100円〜10,500円だとします。
本日の引値が10,100円だとすると、レンジの最下位層にいるわけで、ストキャスティクスは0%を指します。
本日の引値が10,500円の場合は、レンジの最上位層に位置し、ストキャスティクスは100%を指します。
ここまでは、簡単ですよね。
では、実際に計算式を見てみましょう。
ストキャスティクス %Kライン
%Kライン公式
:%K = ( 終値 − MIN ) ÷ ( MAX − MIN ) |
%K |
ストキャスティクス %Kライン |
MIN |
過去9日間の最安値(終値) |
MAX |
過去9日間の最高値(終値) |
計算例 : 直近9日間の価格レンジ 10,100円〜10,500円 引値10,400円のケース |
終値 |
10,400円 |
当日の引値 |
MIN |
10,100円 |
過去9日間の最安値(終値) |
MAX |
10,500円 |
過去9日間の最高値(終値) |
%K |
(
10,400 − 10,100 ) ÷ ( 10,500 − 10,100 ) = 80% |
このような具合で計算します。
オシレーターは0%〜100%の間を行き来します。
つまり%Kラインが75%以上の場合は、直近価格帯の中では割高であることを示しています。
つまり%Kラインが25%以下の場合は、直近価格帯の中では割安であることを示しています。
これだけでも有益なのですが、もう一つ線を追加することにより、売買タイミングを計ろうとします。
線が2本になることにより、有名なゴールデンクロスとデットクロスを見ることができるようになります。
%Kラインは激しく上下する揺れの激しい線を描きます。もう一つの線は%Kラインより動きの遅い遅行線にしましょう。
さて、どんな線にしたらいいのでしょうか?
%Kラインを計算する際のテーブルを利用してみていきましょう。
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8/25 |
8/26 |
8/27 |
8/28 |
8/29 |
9/1 |
9/2 |
9/3 |
9/4 |
9/5 |
9/8 |
9/9 |
9/10 |
9/11 |
終値 |
10,270 |
10,360 |
10,260 |
10,240 |
10,330 |
10,660 |
1,0750 |
10,710 |
10,650 |
10,650 |
10,680 |
10,940 |
10,840 |
10,550 |
MIN |
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|
10,240 |
10,240 |
10,240 |
10,240 |
10,330 |
10,550 |
MAX |
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10,750 |
10,750 |
10,750 |
10,940 |
10,940 |
10,940 |
終値とMINの差 |
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410 |
410 |
440 |
700 |
510 |
0 |
MAXとMINの差 |
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510 |
510 |
510 |
700 |
610 |
390 |
%K |
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80.4% |
80.4% |
86.3% |
100.0% |
83.6% |
0.0% |
MIN |
過去9日間の最安値(終値) |
MAX |
過去9日間の最高値(終値) |
%Kラインより動きの遅い線を%Dラインと呼びます。
ストキャスティクス %Dライン (遅行線)
%Dライン公式
:
%D=(過去3日間の終値とMINの差の累計)÷(過去3日間のMAXとMINの差の累計) |
過去3日間の終値とMINの差の累計 |
%Kラインを算出する際に使用した終値とMINの差の累計 |
過去3日間のMAXとMINの差の累計 |
%Kラインを算出する際に使用したMAXとMINの差の累計 |
計算例 : 上記テーブル 9月8日時点の%D |
終値とMINの差@ |
440円(9/8) |
終値とMINの差A |
410円(9/7) |
終値とMINの差B |
410円(9/6) |
MAXとMINの差@ |
510円(9/8) |
MAXとMINの差A |
510円(9/7) |
MAXとMINの差B |
510円(9/6) |
%D |
(
440 + 410 + 410 ) ÷ ( 510 + 510 + 510 ) = 82.3% |
この様になります。
%Kはその日時点のポジションなのに対し、%Dは過去3日間の平均化ポジショニングになりますので、%Kよりも遅れた動きをします。 また、%Kに比べて滑らかな線になります。%Kは0%や100%などの値をつけますが、%Dはそのような値には簡単にはなりません。3日間連続で高値更新、安値更新をして初めて100%や0%になります。
さあ、テーブルを完成させましょう。
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8/25 |
8/26 |
8/27 |
8/28 |
8/29 |
9/1 |
9/2 |
9/3 |
9/4 |
9/5 |
9/8 |
9/9 |
9/10 |
9/11 |
終値 |
10,270 |
10,360 |
10,260 |
10,240 |
10,330 |
10,660 |
1,0750 |
10,710 |
10,650 |
10,650 |
10,680 |
10,940 |
10,840 |
10,550 |
MIN |
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|
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|
10,240 |
10,240 |
10,240 |
10,240 |
10,330 |
10,550 |
MAX |
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|
10,750 |
10,750 |
10,750 |
10,940 |
10,940 |
10,940 |
終値とMINの差 |
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410 |
410 |
440 |
700 |
510 |
0 |
MAXとMINの差 |
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510 |
510 |
510 |
700 |
610 |
390 |
%K |
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80.4% |
80.4% |
86.3% |
100.0% |
83.6% |
0.0% |
「過去3日終値とMINの差」の和 |
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1,260 |
1,550 |
1,650 |
1,210 |
「過去3日MAXとMINの差」の和 |
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1,530 |
1,720 |
1,820 |
1,700 |
%D |
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82.3% |
90.1% |
90.6% |
71.1% |
では実際にチャートをみてみましょう。
チャート提供 インフォシーク・マネー
日経平均株価の日足チャートです。
青色のオシレーターが%Kラインです。(算定日数5日間)
赤色のオシレーターが%Dラインです。(算定日数3日間、基となるKラインの算出期間は5日間)
(算定期間は市販のチャートソフトであれば、自由に変えることができます。インフォシークのチャートでは%Kラインは5日で算出されています。)
この2本のラインで、ゴールデンクロスとデットクロスを調べるのですが、%Kラインの波動が細かすぎて、旨くタイミングを取ることができません。
だましが多すぎるという欠点があります。単純に%Kラインの波動を見ていたほうがいいですね。
この%Kラインと%Dラインによるストキャスティクスをファスト・ストキャスティクスを呼びます。
(まとめ)
・ストキャスティクスは過去数日間における、株価の相対的位置を示す。
・50%を中心として、0%〜100%までの波動を描く。
・%Kラインの波動の形は、鋸(のこぎり)型で非常に激しい。
・%Kラインの遅行線として平均化したものが%Dラインである。
(売買ポイント)
・%Kラインが25%以下で%Dラインを上抜いた時は買い(ゴールデンクロス)
・%Kラインが75%以上で%Dラインを下抜いた時は売り(デッドクロス)
(欠点)
・だましが多く、売買のポイントをこの指標だけで判別することが難しい。
・短期的な指標の為、長期的なトレンドを捉えることはできない。
スロー・ストキャスティクス
だましが多いストキャスティクスの欠点を補うために、%Dラインを先行線とし、更に遅いS%D(スロー%Dライン)による、交差でタイミングを取る方法があります。
S%Dは、%Dの単純平均です。(通常は3日間)
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8/25 |
8/26 |
8/27 |
8/28 |
8/29 |
9/1 |
9/2 |
9/3 |
9/4 |
9/5 |
9/8 |
9/9 |
9/10 |
9/11 |
%K |
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80.4% |
80.4% |
86.3% |
100.0% |
83.6% |
0.0% |
%D |
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|
|
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82.3% |
90.1% |
90.6% |
71.1% |
S%D |
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87.6% |
83.9% |
タイミングは%DラインとS%Dラインで取ります。
ではチャートを見てみましょう。
チャート提供 インフォシーク・マネー
日経平均株価の日足チャートです。
赤色のオシレーターが%Dラインです。(算定日数3日間、Kラインの算出は5日間)
緑色のオシレーターがS%Dラインです。(算定日数3日間)
ファスト・ストキャスティクスにくらべ、タイミングが取りやすくなっています。
ストキャスティクス単独で売買することには無理があります。他の指標と組み合わせて使用することが必要です。
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